話があっちこっち
話し合いの時間になると、子どもの話があっちこっちに飛んで、「結局、この子は何が言いたいのかな?」と感じること、ありますよね。
一生懸命子どもは話す、保育者は一生懸命聴いている。でも、聴いているのに、話がつかめない。そのもどかしさ、保育者なら誰でもわかりますよね。
そんな時、大切なのは、保育者が答えをまとめることではありません。丁寧に聴き、少し問いかけながら、子ども自身が思いを整理できるように支えることです。
そうすることで、子どもは刺激や出来事から一歩さがって、離れて自分をみることができるようになります。
子どもは毎日、たくさんの刺激の中にいます。楽しかったこと、気になったこと、思い出したこと、話しているとそれらが一気に出てきます。なので、話が飛ぶのは、当然で話を考えていないからではありません。刺激と出来事が近すぎて、まだ全体が見えていないだけなのです。
こんな場面はよくあります。
「ブランコしてね、虫がいてね、給食はカレーでね」と次々に話す子がいます。
ここで無理にまとめようと声をかけると、子どもはまた次の刺激に引っぱられてしまいます。
まずはひとしきりあるまで丁寧に聴きましょう。そして、こんなふうに問いかけてみるのも一つです。
「今日は、いろんなことがあったんだね、ブランコに乗ったんだね、虫もいたんだね、給食はカレーだったね。この中で一番話したいのはどれかな?」この一言で、子どもは
出てきた出来事を、ただ並べるだけでなく、一歩さがった感じでみることができます。
すると、「いちばん楽しかったのはね」
「ほんとうは、これを言いたかった」
と、自分で選び語り始めることがあります。
このとき起きているのは、保育者が話を整理した結果ではありません。子ども自身が、刺激と状況から少し距離をとって向き合う状態になれるよう寄り添っただけです。話したい気持ちが徐々に整っていく、そんな時間を過ごしたのです。
今日からできることは、話が飛んでも、急いでまとめない。まずは丁寧に聴く。
そして、そっと問いかける。
子どもは、たくさんの刺激の中で生きています。その刺激を無理に整理するのではなく、子ども自身で扱えるように支えること。それが、話し合いの時間を落ち着いた学びの時間に変えていきます。

